いんしょーと

少女は卒業しないのいんしょーとのレビュー・感想・評価

少女は卒業しない(2023年製作の映画)
4.0
映画は卒業式の前日シーンから始まる。学生達が登校してくる、その表情や歩き方を見せるだけで、なんとなくひとりひとりの3年間が想像できる。素晴らしい始まり…!
前半は不登校だったと想像される詩織を軸に卒業式前日の高揚と不安を感じた。じゃあ、そんな彼女が何故卒業式前に学校にくる決意をしたのか。そこで語る理由を中間とすると、後半ではまなみを軸に物語が進む。彼女が他の生徒たちから一目を置かれているようにも、遠巻きに見られているようにも感じたのは、なぜなのか。河合優実さん、やはりすごくいい。卒業とは皆平等に訪れるものだけど、「転換点」なのか、「線の上の点」にすぎないのか…なんて考えてしまった。

原作は朝井リョウさんの同名作とのことで、元々は卒業式までの時間軸を7分割した上で互いは交わらない7編のオムニバスだったそう。これを監督が並列に組み直したと(すごすぎる…)。小説を読んで感じた感覚はそのままに組み直したとのことだけど、確かに「朝井リョウさん原作」独特の匂いみたいなものが立ち込めていた。本作の原作は読んでいないのだけど、少し感じた「桐島、部活やめるってよ」感はそういうことなのかも。

あと、触れずにはいられないのが…HIMIさんのダニーボーイ…音程を外している訳ではないけど絶妙に上擦ったり、声色、音量に変化が出たり…エモーショナルがすぎた…!一発どりですってよ

出演俳優さん達は、きっと数年後には邦画で欠かせない女優俳優になってるだろうな、と確信する映画でした。最高。

※コメントにネタバレ含むトークショーの内容を追記