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福田村事件のmycanのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.2
題材が題材だけに覚悟を決めて行ったのだが、(ちょっと耳に入っていたとおり)映画作品としてかなり面白く観ることができた。
終盤に入るまでは、虐殺事件を描いた映画ってことをほとんど忘れてたし。


湿度・粘度高めの村(”ムラ”)の人びとの人間像や関係性、讃岐から来る”エタ”の薬売り集団と、そこに挟み込まれる鮮人(朝鮮人)との位置関係(というか、ズバリ「どっちが上か」)などが、(語弊があるかもだが)味わい深く描かれていて、御伽草子を観ているようでもあり。
…事件が起こるまでは。


事件の場面からは、もうほんと人間やめたくなります。
(映像的にはそこまでどぎつくなってないけど。)


⚠️

はじめはただのお付き合い・仕方なく、だったのに、どこからともなくやってきた正義感・責任感に突き動かされ(そのコアは恐怖心)暴走してしまう集団心理。

話の通じるまともな人間だった村長は、道理の通らない暴走集団を前に、魂を抜かれ無力化。(あえて言うなら、お坊ちゃんには民の本質が見えてなかったいうことだろうか。)

もう一人、無力感を表す存在が井浦新。
魂を抜かれてる点では村長の先を行くが、彼は「加担」してしまっているから、そう言う意味でも先を行ってる。
最後は声を上げられてよかったが。
妻(田中麗奈)は、公正な判断ができるのに、真実を隠蔽されていた人、という役どころなのかな?
井浦新も彼女のおかげで踏み出せたのよな?


とにかく、
人間ってなんでこんなに愚かなんだよ!ってムカつくやら、でもこうなるとどうにも出来ないんだよね、って絶望感やらに襲われる。

それでも田中麗奈がいれば大丈夫っていうか…。



あとなんと言っても間男!間男の東出昌大!どこにも属さないあぶれ者の男。めっちゃいい役。ああいう人必要!(間男という意味じゃなくよ。)
(初めて東出くんにエロスを感じたのも事実だが。)



こんなこと二度と起こしちゃいけないが、何かと危うい今日この頃、多くの人に見てほしい。
自分への戒めにもなった。

ちょっと長くなってしまった。
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