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福田村事件のhuaのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
3.8
関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件・福田村事件を題材に描いた作品。

とんでもなく残酷な事件だ。

100年前に起こった福田村事件を私は知らなかった。
日本がしたことに蓋をしてはいけない、知るべきだと思った。

福田村の人びとの日常と、福田村に徐々に近づく行商団の歩みが並行して描かれるので、一体いつ“事件”が起きるのかと緊張が高まっていく描き方に引き込まれた。

井浦新さん演じる澤田は、
教師として赴任していた日本統治下の京城(現ソウル)において、日本軍が犯した虐殺事件を目撃してしまったことを、大変気に病んでいるように見えたが、それならばこそ事件を止めて収めることに全力を注いでほしかった。

流言飛語により、怒りや恐怖心から起こった集団心理の愚かさをまざまざと見せつけられた。 
人種差別や蔑視を描いた作品は数多あり、日本にいるとあまり意識することがないなどと思っていたが、
本作の時代だけではなく、今の日本にも無意識の差別意識が間違いなく存在することに気付いた。

人は誰をも殺してはいけない。
自分の目で見たことだけを信じる。
当たり前のようで出来なかった人々の話。

この加害者となった人々のその後も描いてほしかった。
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