20年ぶりの新作は怒涛の勢いで2時間を駆け抜ける。セリフもバトルも高速すぎて情報量で圧倒された。2倍速で見ている感覚で、ずっと心拍数が上がったままだった。理解が追いつかず、過去作の復習が全然間に合わなかった私は余計に分からなかった。
中身はガンダムシリーズではよくある話で、本編で倒した黒幕の意志を引き継ぐ勢力が現れ、なんだかんだ再び戦火が…という内容。ガンダムWの劇場版「Endless Waltz」と本筋は似ていると思う。
それを、本作SEED FREEDOMでは常にお祭り騒ぎのような状況でやっており、演出も狙ってか天然なのか度々笑わせにきたりする。方向性が定まっておらず、真面目なのかテキトーなのかよく分からない。
しかし、そんな狂騒的な雰囲気も意外と悪くない。最後にはナチュラルとコーディネーターの争いと平和というテーマはすっかり忘れて、キラとラクスの愛の物語へと姿を変える。方向の見えなかった祭りの狂騒は、2人の愛の力で祝祭へと昇華するのだ。
こうなってしまうと最早どんなツッコミも野暮になってしまう。2倍速のセリフとバトル、変な演出、それらはラストのちゃぶ台返し(?)のお膳立てだったように思えてくる。この夫婦の愛の前には敵はいない。そのことを強く感じさせるラストだった。めでたし。