原作は未読。
いろんな生きづらさがあるなかでも、少なからず性欲的なものに関係するものは、最も理解されづらく他者に打ち明けづらく、人によっては時に法を逸脱したことに近づきかねないものでもあるから、簡単にはまとめられないな、と改めて思わせられた。
以下ネタバレ
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新垣結衣の頑なな態度も、磯村勇斗の半笑いも、そうしないと生きて行けないことがすごくわかるゆえに正直観ててきつかった。なのにこの作品はしんどい彼らの「その先」の希望をきちんと描いていなかったので、その辺のもやもやが排除できなかったのもきつかった。
臨月の同僚がしてくるうざいハラスメント的な台詞、わたしなら間違いなく聞こえないところでうるせえよと怒鳴って息抜きをするだろうけど、新垣演じる彼女はそれをしないことでフラストレーションをためこみ、結局本人に向かってぶちまけてしまう。家族に向かっても頑なに独りであろうとして、そのせいで大切な友達の家のガラスを割ったりしてしまうやつ、これこそが「ほんとにこの世で生きづらい」人の行動なのかもしれないとは思ったけれど。
稲垣吾郎演じるいわゆる「まとも代表」の検事がとてもよかった。まともであることは「自称」であるからこそ奥さんと子供を理解できず、最後に新垣に「普通のことです」と前置きされて「わたしはどこにもいなくならないから」などという台詞を吐かれて言葉を失ってしまう。あの特大ブーメランはなかなかな台詞で、あの一言だけでこの映画の評価が星一つぶん上がった。
人が孤独から抜け出すとき、それは自らの稀有な感覚の「理解者」との出逢いなのは間違いはないけれども、誰もが全く同じ感覚を持っているわけではないがゆえに、時にああいう悲劇も起こりうる。
わたしたちはそのたびに失望して誰かを探すことを諦めてしまう。だからこそ知りたいのだ。それでも誰かに必死で手をのばす「その先」に、一体何があるのかを。
