あると

正欲のあるとのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.0
あなたは、明日生きたい人ですか?

性的マイノリティや世の中に生きづらさを感じる人に寄り添った作品でした。なので、そこにどこまで共感できるかどうかでこの作品に対する評価も大きく変わってしまうと思います。

不登校の息子がYouTuberを始めて世間一般の「普通」から外れてしまうことを恐れる検事。また、「普通」ではない嗜好を抱えて思い悩み孤独な日々を送る男女が、共感しあえる仲間をみつけて自身の存在意義や生きる価値を見出していき、やがてそれぞれの人生がある事件をきっかけに交わります。
とりわけ、とある事件に巻き込まれてしまった夫婦が自分たちの嗜好を「ありえないこと」と否定されてしまうシーンはグサっときました。
少しずつ世の中はLGBTをはじめ、差別をなくし多様性を認めていきましょうという流れになってきているものの、あくまでそれは世間の求める「普通」の範囲内の話であり、この作品のように理解し難いものへの反応は人によって様々あります。本当のダイバーシティの実現に難しさを感じる一方、価値観を共有しあえることの幸せなど色々考えさせられました。
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