シミステツ

西部戦線異状なしのシミステツのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
3.7
第一次世界大戦の西部戦線。パウル・ボイマーはドイツ帝国陸軍に愛国心とロマンを持って入隊するもすぐさま突き付けられる現実。そこには英雄も希望もなく、ただ戦争の悲惨さ虚無さが徹底的に描かれている。人間は駒のように無惨に死んでいき、食糧をむさぼり、必死に生き、そして自らの手で殺める絶望。死に行く敵の手帳を手に、みんな愛する人を持つひとりの人間なんだと痛感する。チャーデンがフォークで自らの首を刺しまくったシーンは辛かった。
戦場と談合の場の静と動。現実と机上も描かれていて戦いの裏側も垣間見れたのには奥行きを感じた。