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フェイブルマンズのhynonのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.2
スピルバーグ監督の自伝的映画。

自分と真逆のレビューが多くてびっくりしたけど、個人的には、感傷に溺れることなく、独りよがりにならず、観客目線で面白く撮られている作品だと思った。

映画に魅了され、何かに取り憑かれたようにオモチャの電車と車を衝突させるシーンは、ああ、この体験が後の長編デビュー作「激突!」につながったのかな?とニヤリとしてしまう。

初めての映画に圧倒され、呆然とするサミー。
自分が小学校低学年で初めて「ジョーズ」を観たときも、まさにあんな感じだった。
(残念ながら映画館ではなくテレビだったが)

幼少期、青年期、壮年期、と経時的に描かれると思いきや、、学生時代で終わったので少し拍子抜けした。

しかし、思い返してみて、なるほどと納得した。
映画で描かれたあの少年期・青年期に、「スピルバーグ監督」をつくり出すに至ったすべてが詰まっていたのだ。

子供のころ、どんなふうに魅了され、どれほど夢中になったか。
どんなふうに突き動かされ、どうやって導かれてきたか。
何を犠牲にしてきたか。
仕事ではあるが、単なる仕事ではない。
離れても、やはり戻ってきてしまう。
決して楽な道じゃない。光もあれば闇もある。
でもきっと、一生続けていくのだろう。

監督の自伝的作品ではあるが、これは、自分が大好きなことを仕事として選び、何かを創り出す、という素晴らしき沼にハマった人たちすべてが共感できる作品でもある。
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