ヤマト

恋のいばらのヤマトのネタバレレビュー・内容・結末

恋のいばら(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【愛か絆か】
 
 終始、『え?』が身体中を駆け巡る作品でした。この困惑が、観ててたまらなく楽しいのです。まるで作品の手のひらの上で踊らされている気分です。そういえば、莉子(玉城ティナさん)は劇中、キレキレのダンスを踊っていました。

 僕が一番注目したのはやはり、桃(松本穂香さん)の本当のきもちです。
 最後、健太朗(渡邊圭祐さん)の部屋で、桃が莉子にキスをしたこと。あれはもう、そういうことですよね? 桃の本当の目的は、健太朗への復讐ではなく、莉子に接近すること。もちろん観ている僕は大きな『え?』を感じるわけですが、莉子はそれを受け止めていないというか、気づいていないというか。  
 そんなこともあり、さらにエンドロールまで、関係が「愛」ではなく、「絆」よりの描写だなと感じたので、やっぱり友情物語だったのかと思っていたわけです。エンドロールまでは。
 キスのシーンから最後の添い寝、そして手繋ぎ。「ああ、やっぱりその路線で僕は間違ってなかった」と思った矢先の主題歌です。エンドロールでそれを聴いて、「絆」ではなく、これは「愛」の作品だと確信しました。
 僕がエンドロールを観ながらぼんやり、物語の回想に耽っていたら、『これからどうやって生きて行くの』という歌詞が耳に飛び込んできたのです。
 「これはまさしく桃のきもちじゃないか?」という衝撃の考察が思い浮かんできました。静かに興奮したのはいうまでもありません。「あ、僕気づいちゃった」、と心ウキウキ状態でした(笑)

 振られ騙され、復讐、友情、愛情。恋愛の大嵐が起こったのち、「愛」に陽が当たる作品だな〜というまとめをさせていただきます。
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