つるみん

aftersun/アフターサンのつるみんのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.0
【同じ空を見上げるって良いね】

11歳のソフィが父親と2人きりで過ごした夏休みを記録したビデオカメラ。20年後、父と同じ年齢になった彼女の視点で綴るあの夏の瞬間…。

監督は短編映画祭で名を馳せていたシャーロット・ウェルズが長編初監督作品としてメガホンをとった一作。

静かに波の音を心地よく聞き入るように、ミニマリスティックな演出で、無駄なものを省きながらも敢えて空白を作るというギミックを駆使している。
大切な人との記憶を辿りながら、その一つ一つのピースを埋めるように、思い出を昇華させないように、優しい展開で物語が進んでいく。

彼らの家族構成についてやキャラクターそのものの説明はないけれど、我々にそれを示唆するような物語の運び方が非常に巧い。

もう既に居ない人に、今の年齢になって聞きたい事が溢れかえる。人はいつ死ぬか分からないから今のうちに思ってる事は言っておけと良く言うけれど、そうじゃないんだよね。自分が年齢を重ねて、新しい聞きたい事も増えてくる。これはどうしようもない仕方ない事なんだけどね。


楊徳昌や侯孝賢のような間とカメラワークにソフィア・コッポラのような洒落感も出ている良作でした。
つるみん

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