aftersun／アフターサンの昭和っ子のネタバレレビュー・内容・結末

いつお父さんが暴れだすか、ずーっとハラハラ見てたような気がする。さにあらず、娘と兄妹に間違われるほど若いのに、けっこう常識人で歳の割には老成している感じもするほど。舞台はトルコの観光地。とりあえず観光バスに乗ったりして、目的地に着くまでのダラ～っとした時間を、ただただ青く美しい海を見てやり過ごしている所とか、旅行あるあるで、自分の経験と重なってくる。昔懐かしいハンディカムで撮られた二人の旅の記録は、あまりたくさんは無く、ほとんどは娘の心のカメラでとらえられたものと、あのときの父と同じ歳になった娘の想像で作られたものの様だった。本当に、ただ旅行のシーンを見せられているだけなのに、この若いお父さんが苦境にあるだろうこととか、この後二人が接する事はほとんど無かったろうことや、彼がもう亡くなっているらしいとか観客は思わせられちゃうのか不思議だった。娘も今は、パートナーと子供がいて、あの頃のお父さんと似た境遇にあるのだろう。もうお父さんはあの不思議な踊りの輪の中に永遠に行ってしまったのだろうが、娘を支えてもくれているらしい。一瞬の中の永遠みたいなもんを捉えようとして、かなりうまくいってる映画だと思った。