当時11歳だったソフィが31歳だったお父さんとトルコを訪れた時の思い出のビデオ
それを当時の父と同じ年齢になったソフィが見ている、のを見ている観客
という2重3重にもなっている視線の構造が面白い
それと同時に若い男性のもつ繊細さや危うさというのがテーマのひとつになっているのはとても現代的でもあるとも思った
目の前に映っているのは仲の良い親子の楽しい休暇の思い出のはずなのに、なぜか観ている間ずっとモヤっとした感情が自分の中から消えなかった
実際に起こっていることとビデオカメラに映っているもの、そして映っていないもの
その切り分けがすごく上手い
この親子のストーリーにおいて起きているはずの大きな出来事に対して決して明言はせず、映像や音楽など画面に映っているもので全てを表現しているとても感覚的で余白の多い作品
しかしだからこそ観る側が自然にその余白に自身の経験を結びつけることができる
普段は映画を観た後は買い物したり街中をフラっと歩いたりするんだけど、これを観た後はこの街の無関心と不親切の空気に触れたくなくてすぐ家に帰った
最後のunder pressureはさすがに効いた