ヴィクトリー下村

aftersun/アフターサンのヴィクトリー下村のレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.4
観終わった後の余韻が凄い。
後からジワジワきてまた見返したくなってる。

話自体は何てことない。
普段は別々に暮らしてる父と娘がトルコに数日間のヴァカンスに行く、それだけ。

派手な事件が起きるわけでもない。
トルコのホテル周辺で過ごすだけだがソフィが目にするもの、体験する感触がスクリーンを通して伝わってくる。

トルコには行ったことないけど、バスの車窓から見る夜の景色だったり、朝の匂いだったり、プールサイドの日差しの熱さだったり、いつかの自分の記憶とリンクして直接肌に感じられる。

一見、穏やかに見える2人のヴァカンスはたまに影を差すような瞬間がある。
楽しげな雰囲気はグラデーションのように少しずつ不穏な空気に変わっていく。
娘が大人の階段を上がる反面、父の脆さと弱さが露呈する。

一見するといつもと同じ夏休み。だけど親子の関係性は確実に変わっている。この2人が特別なんじゃない、それは誰もが体験すること。

だからこんなに共感するのかも。もう一度あの空間を味わいたい。後、音楽がめちゃめちゃ合ってた。