このレビューはネタバレを含みます
いや〜美しく清らか、それだけで胸が熱くなりました。
父と娘が過ごす夏のひと時、撮影したビデオテープの記憶と現在のソフィが想像する父の映像が交差する形となって物語が進んで行きます。
なかなか面白い構成だなぁ〜
冒頭からホームビデオを見ている様な、夏休みを楽しく過ごす父娘の映像がずっと流れます。
親子はどこか悲しげで少し距離感があり、でもお互い共感しあう愛おしい感情が溢れている。
少し不思議な感覚でした。
そして、その映像は過去の物で二人の最後の映像だとわかった瞬間、涙が滲んで来ました。
なるほど評価が高いのに納得しました。
11歳のソフィは大好きな父にはまた会えると思っていたでしょうね〜悲
父親は若くして父となり、なんらかの事情で子供に会えない日々を過ごしている、メンタルが正常な訳がない、
不安定な心を太極拳やダンスで癒している、
二人で太極拳する後ろ姿は微笑ましい
同じ空を見上げるのって良いね、
ソフィが言う
「太陽が見えたらパパも太陽を見てると思える」
「同じ場所にいないし、離れ離れだけど、そばにいるのと同じ」と、
ソフィは父に話しかける
父親と離れて寂しいけれど、
私は頑張っているのよ、と言いたかったんだなぁ〜11歳の少女が精一杯の思いを父親に告げるシーン、あぁ〜ダメだ、泣く〜
おそらく母親と暮らすだけの生活に満足していないという心情でしょうね〜
ソフィを演じたフランキー・コリオちゃん、
少女でありながら早く大人なりたい、そしたらもっと自由にパパと会えると言う思いがとても伝わる演技、本当に素晴らしいわぁ〜
11歳の父にしてはまだまだ若い、ずっと娘を抱きしめていたい、父親としての心の葛藤を咽び泣く背中で見せつけるポール・メスカル、娘への眼差しは秀逸です。
日焼け止めを塗り合いっこする、唯一父親が11歳の娘にできるスキンシップだったのでしょう。
バカンスは永遠に続くことはない、
離れたくないのに、離れ離れに…
心と体が反対方向に向かってどうする事もできない二人、
カラオケも二人で唄いたかった、
ダンスも二人で踊りたかった、
別れの時が近づきカラムの思いが「Under Pressure」の歌詞と共に、どんどん苦しくなっているのに、やたらノリノリで踊る不安定なシーンで涙腺崩壊
あの時の父の心に寄り添えたなら…
ラスト、空港でのソフィの笑顔、
「大好きだよ〜」
この場面、予告編で何度見たことか…😭
また会える…そう思って何年も会えない人がいる
また会える…そう思って一生会えない人もいる
出会えた一瞬を大切にしたいと強く思った。
無駄がなく自然で暖かい、心にスッと入ってくるセンスの良い脚本で仕上げてくる、シャーロット・ウェルズ監督の次回作がとても楽しみです。