仲睦まじい父娘のトルコ旅行の様子を描いたシャーロット・ウェルズの長編監督デビュー作
妻とは既に離婚しており、離れ離れで暮らしている30歳の父親と11歳の娘が休暇を利用してトルコで過ごす数日間を静謐に映し出していく
陽気にレジャーを楽しむ2人を微笑ましい気持ちで見ていると時折悲哀を感じ取ることができる描写が挟み込まれる
子どもの前では陽気に振る舞いながらも、陰では不安に苦しむ父親の姿が示唆的なセリフや行動、ショットによって繊細に表現されています
死への願望を匂わせる描写、効果的に使用される明暗によって鑑賞者に父親の苦悩を想像させる手腕は見事です(説明的過ぎる傾向が強い邦画は見習った方が良いと思います)
トランジションや時系列の弄り方など編集にも拘りが窺え、映像作品として興味深い作品に仕上がっています(挿入歌を物語とキャラクターにリンクさせる使い方も上手い!)
キャラクターの感情や背景を明示的に示すことを避け、鑑賞者が読み取れる行間を広くしているので観る度に違った感じ方や新たな発見ができそうな作品でした