asumi

aftersun/アフターサンのasumiのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.3
寂しさと愛しさで、ずっと胸がいっぱいだった。
説明は少なめ、ドラマチックな展開はない。
でも2人の気持ちを繊細に描いていて、互いへの想いが波のように揺れて心を満たしていくような感覚。
身体に響く重低音が不安と儚さと寂しさを増す。
父と娘のバカンスを切り取っただけの物語と言えばそれまでだけど、2人のひと夏の思い出は、美しく印象的なシーンばかりで忘れられない。
ラストシーンに向けての「under pressure」は、特に心を掴まれた。大切な作品に出会えたなと思う。

今も時々、映画のことを思いだして感傷的になってしまう。それは数年前に亡くなった父のことを想うから。
ソフィと重なる自分。空港での別れ。
父と出かける時は、少しませた気持ちで腕を組んで街を歩くのが好きだった。
聞きたかったこと、亡くなってから知ったこと、もっと言いたかった文句もある。
そして私もソフィと同じように父のことが大好きだったと強く刺激される。
記憶の中の父は穏やかな顔をしていることが多い。
寂しいも怒りも好きも、もう伝えられないというのが、とても寂しい。
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