まっと

ファイブ・デビルズのまっとのネタバレレビュー・内容・結末

ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

それでもやっぱりヴィッキーは一生「母親に捨てられた子供」の自我を持つことになるんだよ
私もいい大人なので、十代の頃の鮮烈な思い出だけがこの世で一番生きてる時間だった気もするし、母子の関係なんて声高な世間の言うよりは適当でそれぞれで母と子がいる数だけ「取り返しのつかないこと」の数がある、と頭でも心でも分かっている年です

それでも、ヴィッキーにとってどれほどの重みかは本人が決めることだけど、彼女には「母親に捨てられた子供である」という人格がつく
糾弾しているわけじゃなく、むしろ考えうる限りだいぶ円満で互いに優しい未来が待っている結末なんじゃないかと思ったけど、ただそのことだけはずっと頭に残っているので書いた
愛も必要、娘も愛している、全然できるならどっちも総取りが一番良いんだろうし、多分そうなることも不可能ではない結末だった
多分ジョアンヌもジュリアもこれまで理不尽に傷付いた分だけ取り返した ただ二人が取り返したところで取り返しの連鎖が終わるとは限らないんじゃないか 人間だもの みんな、叫びたいときに叫ぶ人間だもの

あの本当にジョアンヌとジュリアにムカついてるとかそういう気持ちとはまた違うんですよね ある種当然だとも思ったしそうなったら逆にそうなるしかないだろとも思うし、フィクションだからあれだけど人んちのご家庭の決断に偉そうに何も言えんし
「私が私であるために誰かとの関係の中の愛が必要なこと」について多分確固たる自信を持って理解してる!!!と言えないんだよな私は だから今回も寝ても覚めても観たときと同じ気持ちになった 巡り合う時間たちはこういう気持ちにはならなかったなあ何が違ったんだろう

気持ちは置いといて映画の作りの話
そういう愛の必要さとそれはそれとしての娘の感情を描く場面で「あの人がいなくても生きていけそう?」「どうかな」、「私が生まれる前から私のこと好き?」ていう台詞にするのめちゃくちゃ見事だ〜〜て感動した
端的 分かりやすい ありがたい
まっと

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