薄荷

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版の薄荷のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

エドワード・ヤン監督は『ヤンヤン夏の思い出』が好きで、ただ『恋愛時代』という邦題によって観るかどうか迷っていたが、濱口竜介監督の「エドワード・ヤンは『どうしたら私たちはこの社会で、他者とともに生きていけるのか』という問いを決して投げ出さなかった。」という推薦コメントを読んで、やはり観に行くことにした。(因みに原題も英題も全然恋愛に触れてないのに、なぜ邦題は恋愛でまとめてあるのでしょうか…?)


ラストシーンが衝撃的だった。ラストシーンまでがひどい状況だった(ということもラストシーンを見てわかった)ので、ラストシーンがまるでファンタジーのように感じられて、そのファンタジーによって強く心が揺さぶられた。
私がファンタジーだと感じたものは、パンフレットの濱口監督の寄稿には独立だとあった。
そうであるならば、チチはこれから明るみに出るであろうモーリーとミンの裏切りも、彼女なりに乗り越えていくことができるのかもしれないと、なんとなく思えた。


(ひどい状況ではあるが、外から見た彼らは、誰もが利己的で必死で、愛すべき存在であるようにも思えた。映画館を出た後で公園に座っていたら、まるで映画の延長のような感覚があって、街にいる人たちの存在の輪郭みたいなものが、一瞬はっきりして見えた気がした。)
薄荷

薄荷