午後

イタリア旅行の午後のレビュー・感想・評価

イタリア旅行(1953年製作の映画)
4.5
叔父の別荘を売るための憂鬱なるイタリア旅行。長年の鬱憤が堆積して分厚い層をなし、相手の何気ないひと言が自分を責め立てているように思えてならない。たまに素直になろうとしても、相手は相変わらずの憎らしい皮肉な態度で、一つにはなれない夫婦のすれ違い、その難しさ、物悲しさを感じさせる会話が見事。
夫は別の女性と遊ぼうとするがあと一歩のところでいまいち噛み合わない。妻は博物館やカタコンベなどを巡る。夭折した詩人の友人の話や、カタコンベに並ぶ頭蓋骨や、ポンペイで出土する固く抱き合ったままの夫婦の死体など、度重なる死のイメージが印象的。それとは対照的なラストシーンのナポリの群衆。
午後

午後