このレビューはネタバレを含みます
夫のどうしようもない幼稚さと小並感、自我を持て余しながら居場所を見つけられない妻の焦燥感。
ジリ貧のような夫婦間摩擦を解消することもなく最後は、死への恐怖と祭祀のドタバタの中で、借り物の愛へ不時着を決める2人。抱き合って終わりだったら軽いメロドラマだったけど、ラストはなぜか警察で終わる。なにこれ。
仮面夫婦が内包する狂気のレベルはまだイタリア的リアリズムの範疇にあるものの、その後のトリュフォーやカサヴェテス、ひいては現代の『ゴーンガール』まで連なる作品の系譜、その下地は確かにここに存在する。