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理想郷のWNTのレビュー・感想・評価

理想郷(2022年製作の映画)
3.8
スペインのガリシア地方の小さな村に移住したフランス人夫婦。
ふたりは穏やかなスローライフを送ろうと考えていた。
しかし村に住む人々は貧困問題を抱え、穏やかで豊かな暮らしをすることができないでいた。
隣人兄弟は新参者のフランス人夫婦に嫌がらせをするようになる。

どれも犯罪ぎりぎりの嫌がらせばかりで、証拠も曖昧なものしかない。
警察に相談しても動いてくれることはなく、夫婦は命の危険を感じる。

改善することはなく悪化していく関係が行き着く先。

小さなことでも気に入らないのに、風力発電に夫婦が反対したことでさらに兄弟が攻撃的になっていく。

妻がどれだけ反対しても、映像に証拠を残したがる夫。
その行為が兄弟を煽ることになりさらに悲惨な事態へ。

前半は夫視点で、後半は妻視点で物語が進む。
後半になってからさらに緊張感が高まり、逃げ出したくなるような閉塞感がある。

印象的なのは娘が母に怒る会話。
娘は真っ当なことを言っていて母の言うことが理解できない。
けれど共に過ごしていくと気持ちが分かっていくようになり、羨ましく感じるほどに変化していく。
誰にも理解されなくても、強い心を持ち小さな幸せを育む彼女は豊かに思えた。

こういう時は女性の方が強いのかもしれない。
ラストのふっかける姿は心理戦のようにも思えてハラハラした。
後半からどんどん面白くなって目が離せなくなる。

隣の兄弟が恐ろしくて、人間のすることじゃない。
馬のシーンがあんな伏線になっているなんてゾッとする。
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