ぶみ

こんにちは、母さんのぶみのレビュー・感想・評価

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)
3.0
あなたは、ほんとうに母さんで、ときどき、ほんとうに女の人だ。

永井愛による同名戯曲を原作とした山田洋次監督、吉永小百合主演によるドラマ。
東京の下町で暮らす主人公と、私生活に疲れ、久々に実家に帰った息子の姿を中心に描く。
原作となる舞台や、それをベースとしたテレビドラマは未鑑賞。
下町で足袋屋を営む主人公・神崎福江を吉永、息子・昭夫を大泉洋、孫となる昭夫の娘・舞を永野芽郁が演じているほか、寺尾聰、宮藤官九郎、YOU、枝元萌、田中泯、加藤ローサ、田口浩正等が登場。
物語は、会社では人事部長として人事問題で悩み、家では妻や娘と別居している昭夫が実家に帰るシーンでスタート、以降、実家である福江の足袋屋を中心に、店を入れかわり立ちかわり訪れる人々や、福江の秘めたる恋模様が描かれるのだが、もう、そこはそれ、超ベテランかつ大御所と言える山田監督らしく、自転車で走るときに、そんなに邪魔ではないのにチリンチリンとベルを鳴らしたり、はたまた大学生である舞がお金を貰う時に、力士のように手刀を切ったりと、もはや良い意味でも悪い意味でも手垢が付きまくった演出のオンパレードであるため、昭和感だけでは語れない、一周回って時代を超越した不変のものとして、楽しむことができる。
物語についても同様で、予告編を見ただけで話の内容が想像できるものであるし、ベタな展開は、これまた一周回って安心して観ていられる仕上がりとなっている。
ただ、そんな中でも、ターゲットを幅広くしようと、監督の前作『キネマの神様』に続き、若手のトップランナーである永野を起用したり、YouTuberであるフィッシャーズの一員・シルクロードが登場したり、立浪部屋の力士である明生が本人役で登場したりと、配役で惹きつけようとしていたのも商業作品として決して悪くないところ。
何を隠そう、私も当初は本作品を観る予定はなかったのだが、本サイトのレビューで、私のお気に入りの一人である永野がへそ出しルックで登場していることを聞きつけたため、それを目当てにスクリーンへ足を運んだのが正直なところであり、監督のおじさんイーターぶりに、見事ホイホイと引き寄せられた次第。
観る前から、星3つぐらいだろうと思っていたところ、そのとおり3点満点の作品であり、かつてのホームドラマで使い古した演出が逆に新鮮に感じるという不思議な魅力を放っているとともに、永野のファッション七変化を、もっと見たかった一作。

僕はクビを会社になるんですよ。
ぶみ

ぶみ