絶世の美貌で名を馳せたオーストリア皇妃エリザベート。40歳の誕生日を迎えた彼女の孤独と絶望をマリー・クロイツァー監督が独自の視点で映像化した作品。
どちらかというと史実に寄せてないし、創作や想像が多く盛り込まれていると思うが、きっと彼女の本心もこんな気持ちだったのではと感じた。自然に年を取ることが許されず、国民には永遠の若さと美しさを称える歌を唱和される。呪いをかけられながら食事制限とコルセットで痩身に励む日々。生き地獄に見えるけどこれと同じような光景、現代のSNSでもよく見かける気がするなあ。
ヴィッキー・クリープスの気だるそうで不機嫌そうな表情がエリザベートの焦燥感のようなものを上手く表していて凄く役にハマってた。
終盤怒涛の展開でちょっと面食らったけど、不思議と爽快感もあるラスト。他人から愛される自分でいることよりも、誰にも縛られない自分になることを選んだのだと思えた。カミーユの「She Was」が意外なくらい19世紀の物語に溶け込んでて良かったなー。