17世紀、朝鮮王朝時代。盲目の天才鍼師ギョンスは、病の弟を救うため誰にも言えない秘密を抱えながら宮廷で働くことになる。ある夜、王の子の死を“目撃”したことから、ギョンスは意に反して追われる身となる。
これは韓国で大ヒットも納得のおもしろさ。序盤は宮廷ものとして主人公が適応していく過程を見せつつ観る者を巧みに引き込む。その後の詳細は伏せるとして、史実に映画的脚色を加えた娯楽作として見事な仕上がり。光と闇のサスペンス演出が見どころで聴覚や音の描写も印象的。
見て見ぬふりをするのか、目をつぶって生きるのか。陰謀に巻き込まれた盲目の主人公の葛藤はじつに万人に通ずる。だからこそ佳境を迎えた時、その選択は驚きとともに胸に迫るものがある。