ヤマ

アメリカン・フィクションのヤマのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.5
大学教員で黒人作家のモンクは新作を書き上げたものの出版社からの評価はいまひとつ。半ばヤケになったモンクが冗談でステレオタイプの黒人小説を書いてみると、思いがけずベストセラーとなってしまう。第96回アカデミー賞脚色賞受賞。

なんとも皮肉な風刺コメディ。認めがたいものが何故か評価されてしまう主人公の不満や苛立ち、事が大きくなっていく状況に不本意ながら適応せざるを得ないさまが可笑しい。

主人公モンクの小説『My Pafology』は貧困層出身黒人ギャングの自叙伝。一方でモンクの家族は裕福な黒人インテリ家系。事情を抱えた家族固有の物語は作品の大きな印象を占め、モンクの小説やその顛末とは対照的に映る。でも結局“受ける”のはどちらなのだろうか。皮肉な問いや逡巡とともに、重層的なフィクションから浮かぶリアリティを感じる。
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