三畳

ETERNITYの三畳のレビュー・感想・評価

ETERNITY(2022年製作の映画)
4.5
宇宙を描くのに成功した人間は後にも先にも水江未来だけではないか?

全細胞の中に、生命の起源のメモリーがある。この身体を動かすプログラムは永遠を知っている。そんな私も超高速で飛び去る微細な1点の粒としてこの映画の中に描かれていたかもしれない。

アカシックレコードみたいに宇宙のすべてを飲み込みシェイクしたひょうたんの中へダイブする…恐怖、脳が耐えきれない…超意識の展開が止まらない…観るだけで死人が出そうな情報量。

循環しながら拡張し続けるから、同じ画はきっとない。命の織り成す曼荼羅ハーモニーはなんてミラクルなんだ…
その可能性すら無限に分岐して、並行宇宙は膨張していく。
それも細胞はもう知っている。また全部を始める。ミクロ/マクロの単位は入れ子になっている。


いやーパソコンの負荷が心配になるw

https://youtu.be/RWuKjv73gfs

色んなタイプの天才がいたもんだ!どんな常軌を逸した頭脳の人がこんな怪作を作れるんだろう?って思うじゃん、
今回幸いトークショー回に入ることができた!え、すごい気さく…ほがらか…(前からYouTubeで見てたけど)優しそうだしお話めちゃくちゃわかりやすい。

良かった話。音楽のトクマルシューゴさんは曲を右から左へ進む一方向のものではなく、音は鳴らしたら前にも後ろにも上にも下にも飛んでいく、と。どうりで、循環してメタモルフォーゼする水江さんの作風と親和性があると思った。
映像を逆再生したものを観ながらリアルタイムで演奏録音したバンド音源を、逆再生して採用しているとか、作り方の裏話も聞けた!

質問3つくらい考えていったけど熱心な講義のように挙手が絶えなくて聞けなかったから、パンフにサイン書いてもらう時に早口オタク口調で質問したw


私は通常自分が見ている世界を捉える単位が1秒、2秒…だとしたら、あるきっかけで1.00001、1.00002、…ってなった体験(幻覚?)が昔あって、
イメージとしては脳の中のフレームが、マジシャンがトランプを机にサーッと扇型に広げる時みたいに、あるいはウィンドウが大量生成されるブラクラみたいに、なったの。
細かく刻むから時の流れがゆっくりなのに2.00001秒になった時にとんでもなく時間がワープしたように感じてパニックになるのね、実際には全然経ってないのに。

ただの回転性めまいの時も視界だけはそれっぽくなるけど、ぼやけていて曖昧だし、体感までは変わらない。
でも映画は鮮やかでクリアなまま、あの感じを追体験できるようなパートがありました。
(今回の企画でETERNITYがトリなの、絶対画面酔いするからだろwと思ってたけど意外にも大丈夫だった)


次回作は初の長編「物語」を制作中だそうで…これまでは言葉がなく、だからこそ解釈もどこまでも広がっていける、起承転結(トクマルシューゴさんの言う一方向だ)がない作品が多かったけど、
(⇔土屋さんとの共作あびばのんのんは小さな起承転結があった!/あーでも、水江さんのパートは意味的にも無限・奥へ奥へだった!!)、
次回作は言葉も台詞もたくさん出てくるそうで!楽しみにしています!


指先から宇宙まで 素晴らしき短編アニメーションの世界
下高井戸シネマ5/26まで。絶対劇場観賞がおすすめ
三畳

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