モロッコの海沿いの街に、カフタンという美しい伝統衣装を作る小さな店がある。職人気質の寡黙な夫と、しっかり者の妻が切り盛りするその店に、若い職人がやって来た。
目の覚めるように鮮やかなブルーの生地に、金糸でひとつひとつ丁寧に刺繍を施すと、見事な美しいカフタンが仕上がる。
ゆっくりと静かに作業を進める2人の男…心の内に隠した思いを悟られないように、ひたすら作業に没頭する。その様子を見つめる妻…病に侵され、日に日に痩せていく。
登場人物は3人。寡黙な夫、糟糠の妻、若い美貌の職人…それぞれの複雑な心境が交錯する。
病床の妻の痛々しい背中が、彼女の思いを物語る。見ていられなくなる夫。妻への愛はあるのに、抑えきれない思いが彼を苦しめる。
遠くに聞こえるカモメの鳴き声、共同浴場の湯気、カフタンの衣擦れの音、妻が好きな柑橘の匂いが漂ってくる。
静かだけど濃密な愛の世界が展開する初体験モロッコ映画…魅せられました🇲🇦
