このレビューはネタバレを含みます
修道院が舞台の上質サスペンス。
ショーンコネリー演じるウィリアム師の弟子が語り部。
荒れた土地にたつ修道院の風景は肥え太った修道士たちと痩せ細った貧困層の人々の対比が痛ましい。
当時はこれよりもっとひどい状況が存在したと思うと。。
キリスト教が絶大な権力を持つ時代の宗教内の考え方の違いと争い、権力と拷問による一方的で反論を許さない断罪。
マイノリティ=異端=悪魔で、存在を認められない時代、なんで恐ろしいんだろう。
キリスト教を含めて宗教の解釈は理解不足なので、これも偏見かもしれないけれど、考え方なり文化なり、閉鎖的な社会はより一層人の弱さを表に押し出す気がします。
自分が信じる世界を守るために、禁書の流出を防ぐために、殺人に手を染める。大義のためなら少数の命は問題じゃないっていう考え方も、閉鎖的な世界で起こる狂気。
政治的な思惑で、権力の影で、残らず消えていったり、歪められた言葉や歴史がどのぐらいあるんだろう。自分の価値観を含めて、揺らがないものなんて何一つ無いんだろうな。