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Badhaai Do(原題)のBaadのレビュー・感想・評価

Badhaai Do(原題)(2022年製作の映画)
4.0
2018年に中高年夫婦の妊娠出産、をテーマにした家族コメディー”Badhaai Ho"でヒットを飛ばしたチームが主演級のスターと監督を変えて、ゲイとレズビアンの偽装結婚をテーマにしたコメディーを撮り、そこそこの興行成績ながらもフィルムフェア賞6部門受賞、というのに興味を持ち、Netflixでの英語字幕配信を機に見ました。前作、”Badhaai Ho"の感想も作品ページがないので、ここに書いておきます。

これは、受賞も納得の見事な脚本で、ボリウッド映画でこんな見応えのある映画は近年稀ではないか?と思いました。(単に私が見ていないだけかもしれませんが・・・)

ただ、脚本が見事であるだけに、主人公たちの懸命の努力にも関わらず、家族と折り合って生きたいと考えているタイプのLGBTの人たちの問題は、結局のところ同性婚が合法化されないとどうにもならないのでは、という虚しさは感じました。そういうところまで観客に思いを至らせるという部分でも見事な脚本。

是非とも劇場公開はされずとも日本語字幕どこかでつけて、配信なり映画祭公開なりして欲しいと思いました。

結婚する二人の属するジャーティーがタークルというラージプートのカースト、ということは、クシャトリア?日本で言えば中級から下級の武士みたいな家系なのかな?結婚とか子作りとか、やたらとうるさいコミュニティーのようで女性専門の警察署に勤める主人公にヒロインがストーカー男を突き出したのが馴れ初め。
ヒロインは体育教師。

二人はそれぞれに恋人がおり、ヒロインは官舎でいとこと偽って彼女と同居、というドタバタぶりですが、テーマはいたって真面目。

偽装結婚の結婚式が結構和気藹々で二人もノリノリ、という部分も面白かった。

一年たって子供ができないぐらいで親戚中に詰め寄られるっていうのは、国はどこであれ今時辛いと思いました。

****

さて、”Badhaai Ho”です。
こちらはデリーの中堅公務員が多いコロニーに住む鉄道会社に勤める父、専業主婦の母、父方の祖母、息子二人の家庭。
息子は同じ会社の上流階級らしき女性と付き合っている。
夫婦は仲良しで、妻が不調で病院に連れて行くと、なんと妊娠。子供は育てたいわ、の妻の一言で、定年間際の年齢での妊娠が周囲に知られ、色々とトラブルが。

インドって、この世代は夫婦には子供二人が豊かな生活、ってキャンペーンしてたんですね。おばあちゃんが、「公務員が国の方針に従わないなんて、恥晒し」みたいなことを言って怒るのが面白かった。日本だとこの世代、均等法少し前で色々ゆとりがあったのか、専業主婦の家庭は3人が多かったけど。

で、なんで高齢出産が恥なのか、いまいちピンと来なかったのですが、インドの中流家庭ではそうなんだ、ということと、これがとても一般受けしそうな高度なコメディーだということはわかりました。

お母さん大好きな息子たちが戸惑って反発しているところとか、この歳になっても晴れ着を着た妻に見惚れてしまう夫とか、可愛かった。
「ダンガル」以降順調に売れているサニーヤー・マルホートラーさんのしっかり者の中上流階級の娘役はこれが最初だったのね。

内容は超高齢出産というアイデア以外は今までのヒット映画を少し庶民的にしただけ、という感じもしましたが、キャスティングと役者さんたちの演技が素晴らしかったです。
お母さん役のニーナ・グプタさん、今は夫以外から惚れられそうにはないけれど、昔は絶世の美人だっただろうと思える顔立ちで、とてもハマり役でした。

なんだかんだ言ってラストはお約束のハッピーエンドで、楽しかったですが、今やこの手のコメディーは見慣れているので少し古く感じるかな、というこのジャンルの草分け的映画。スコア3 .6〜7ぐらいかな?
DVD英語字幕にて。
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