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チャムキラのBaadのレビュー・感想・評価

チャムキラ(2024年製作の映画)
4.3
恋愛映画とロードムービーの名手、イムティヤーズ・アリー監督による1970〜80年代に活躍した実在の人気歌手の伝記映画。

アマル・シン・チャムキラはパンジャーブ地方のシク教徒のダリットの家庭に生まれ、靴下工場で働いていたが、頭の中は音楽で一杯だった。

やがて人気歌手の下で曲を書く仕事を始めるが、ピンチヒッターで出演した舞台で喝采を浴びる。

美声と音楽の才能と観客のニーズを読む能力に恵まれ、農村部で厳しい労働につく観客の好む卑猥な曲で人気を博すが、やがて過激派のターゲットとなり命を落とす。

シク教の指導者の教えに従ってつくった宗教歌でも人気を博すが、ファンは低俗な歌詞の歌もねだって止まず、チャムキラは聴衆の要求を拒むことはできない性格だった。

天性の音楽家が命を落とすまで追い込まれる過程を淡々と描いていて、普段の監督の映画とは趣がまるで違いますが、随所にチャムキラの音楽のファン向けの工夫が凝らしてあり、マニアックに楽しめます。

80年代のシク教徒への大弾圧やパンジャーブの農村地域の趣などはリアルに描かれており、インドの現代史に興味のある人や音楽に興味がある人は必見かと思います。

パンジャーブの大スターで歌手・映画俳優のディルジート・ドーサンジがチャムキラを演じ、自らも歌っています。

Netflix配信でなければならない事情はわかりますが、パンジャーブの音楽の愛好者はボリウッド映画のファンよりも多いようなので、おそらくプロモーションビデオや音楽などは全世界で大ヒットすることでしょう。

Netflixにて。
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