ずっと気になっていた作品。その期待値をちゃんと超えてきた傑作でした。
リアルだと感じさせられる濃厚で深遠な物語。がっつりと泣いてしまった。
少しずつ大人になっていっていると自覚せざるを得ない今日この頃。お金というテーマは重く感じられた。
一見あればあるほど幸せになれると思いがちだけど、レスリーという子供思いの母親はこのお金に人生を狂わされてしまう。皮肉にも劇中で彼女が見せる一番の笑顔は、このお金をもらった時だった。
どうにも現実を受け入れられないレスリー。母親だとか過去の栄光だとか、色んなものが彼女を邪魔する。そんな壁に脆くも崩れる最初の頃のレスリーは到底愛せるキャラクターではない。
それでも少しずつ、不器用に前に進む姿には心を打たれた。そしてそれをさらに不器用に見守る周りのキャラクターにも何とも心を揺さぶられた。
そして意外と音楽でも魅せてくる映画だった。
単館上映だったけど、その演技に魅了された人々がアカデミー規則ギリギリの手法でアンドレア・ライズボローを主演女優賞ノミネートまで押し上げたという逸話も素敵過ぎる。
たしかにこの演技はえげつない。。
こういう映画ってリアル過ぎるが故に、「現実そんな甘くない」とか言う奴がいるけど、あくまで映画。
この汚さ、この不器用さ、この惨めさを作品に昇華するという行為が美しいんだと思う。