バナバナ

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶのバナバナのレビュー・感想・評価

3.3
マンガ『動物のお医者さん』で、「類人猿の担当者になるのは難しい。なぜなら、向こうが人を選ぶから」という話が出てくる。
もし飼育担当者が風邪で休んだら、その代役となる二番手の人は予め決まっているのだが、
インフルエンザなどでその二番手まで休んでしまい、三番手に出番が回ってきたとしたら、
三番手の人は、猿たちから唾をかけられたり、ウンコを投げられたりと、エサをやるのも相当苦労するそうなのである。
岸辺一徳さんのエピソードは、類人猿担当あるあるの話だ。

私は、田舎の小さな都市の公立動物園である旭山動物園に、どうして多額の改装費が出されたのかが、かねてから不思議だったのだが、この映画はそこのところの事情を主に描いている。

女性で人の上に立つ様な人は、決断が早かったり行動力があったりするものだが、この市長さんは、園長の夢の話だけで何億円も先行投資をする。
前市長や議員、男性助役たちは、保身が先に立ってそんな冒険はしなかったのだが、この市長さんだけは、園長の夢に懸けて、見事、今日の街の繁栄を手に入れたのだ。
すごい度胸というか、先見の明がある、というか…。

この作品では飼育員の人達は、吃音者や元イジメられっ子や、人見知り、人嫌い…と、人間相手が嫌だから動物園で働いている様な人ばかりだったが、動物園の大成功は、彼らにも多大な自信をもたらせた筈だ。
しかし、成功してからは顔の度アップだけが続き、そういう飼育員さんの心の変化みたいなものは、あまり描かれていなかったので、もっと違う見せ方をしてもらいたかった。

P.S.大阪の天王寺動物園も、同じ様な時期に改装したのだけれど、旭山動物園が“行動展示”で大成功しているのを見てから、改装すればよかったのに。
天王寺動物園は“生態展示”なので、覗き穴の様な狭いところから見なければならず、混んでる時に行ったら全然見えなくて最悪なんである。
嗚呼、せっかく大金出して改装したのに、もったいない。

神戸の王子動物園は、上野と違って、パンダは屋外の手が届きそうなところに居て、簡単に見れるところがよい(ここのパンダは、自分のウンコの上に背中擦り付けながらゴロゴロ寝転んで、おバカな奴です)。
こちらのシロクマ館も、旭山動物園の様に水を張ったプールが付いていて、観客は下から水族館の様に見る事が出来るのだが、私は何回も行っているのに、シロクマが水にダイブしたり泳いだりしているところを一度も見た事がない。
なんでだろう? 水槽が深すぎるのかな? ここら辺の違いを見ても、まだ行ったことないけど旭山動物園はすごいと思うのである。
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