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オットーという男のayellowbirdのレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
4.0
トム・ハンクスが町一番の嫌われ者の男を演じ、孤独だった男が隣人一家との触れ合いを通して再生していく姿を描いたヒューマンドラマ!
町の嫌われ者で、いつもご機嫌斜めなオットー。曲がったことが許せない彼は、近所を毎日パトロールしてはルールを守らない人に説教を垂れ、挨拶をされても仏頂面で、野良猫には八つ当たりをするなど、面倒で近寄り難い存在だった。しかし、そんなオットーも人知れず孤独を抱えている。最愛の妻に先立たれ、仕事も失った彼は、自らの人生を終わらせようとしていた。ところが、向かいの家に越してきた陽気な女性マリソルとその家族が、なにかと邪魔をして、死のうと思っても死ぬことができない。しかし、そんな迷惑なはずの一家の出現が、彼の人生を変えてくことになる。

心がじんわりと暖まる作品。
パートナーと死別後、女性は誰かを頼り、趣味に取り組み、グループを尋ねるが、男性はじっと家にこもり、自分だけでなんとかしようとする傾向があるそうだが、オットーもご多分に漏れず、家ごもり派。また、妻ソーニャを失った喪失感に耐えられず、生きる気力を失って、毎日死に場所を探すしている。
しかし、向かえに越してきたマリソル一家の雑事に度々巻き込まれ、不承不承、手を貸しているうちに、ソーニャを亡くしてから、モノトーンだった彼の世界が再び色づき始め…。
もし、マリソルがいなかったら、オットーの晩年は、後悔と社会への怨恨だけの辛く寂しいものだったに違いない。
お節介な近隣に恵まれて、頑固オヤジが町の人気者として、ソーニャのもとに旅立つことができたのだと思う。
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