竜平

オットーという男の竜平のレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
3.7
トム・ハンクス主演。いつも機嫌がわるく無愛想、他人に厳しく当たり交流することも避けている、そんなTHE 気難しいおじさん「オットー」と隣人たちの間で巻き起こる人間模様を描く。スウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』のハリウッドリメイク作品。

リメイク前のは未鑑賞。トム・ハンクス主演となるともうそれだけで見てみたくなる、ってのは俺だけじゃないよねっと。監督は『主人公は僕だった』『ワールド・ウォーZ』などのマーク・フォースター。主人公オットーは集合住宅のルールに人一倍厳しかったり、近所の人にも文句や悪態ばかりついてたりで超がつくほどの堅物。心を閉ざしているようにも、というか、要するに絶望してる、というのが序盤ですぐにわかるんだけどもこれは詳しく書かないでおくとして、そんな状況に付随する過去の出来事、とある人物の存在、かけがえのない思い出なども徐々に見えてくる。でオットーの向かいに引っ越してくるのが陽気でお節介なメキシコ人家族。これが強引すぎるとも厚かましいとも言えるんだけど、たぶんこのくらいグイグイ入ってこないとオットーの心はまーーこじ開けられないだろうな、というところ。隣人たちとのエピソードを経て、人との繋がり、思いやりを持つことの大切さ、人生との向き合い方などを主人公と一緒になってこっちも教わる感じ。

トム・ハンクスはもう、さすがの存在感、いやはや好き。てか若き日のオットーを演じてるのがトム・ハンクスの実の息子トルーマン・ハンクスだったってのを後で調べて知る。言われてみればたしかに、雰囲気から似てる。キャストの魅力は置いとくとして、ストーリーに関して言えばハートフル推しでなんやかんやいい話ではあるんだけど、ちょっとリアリティーに欠ける部分が目立つかなーという印象もある。御都合主義もちょっぴり感じて、冷めるまではいかなかったけど途中で集中力が切れてしまったのは事実、というわけでこんくらいの点数で。あと、これは本当に個人的な感想だけども、なんだか自分の老後とか勝手に想像してちょっぴり落ち込んでしまったというか不安になってしまったというか。普段他人にイライラしたり嫌気が差したりというのも少なくない世の中で、周りに目を向けず自分のためばかりを想って生きているとこんなふうになってしまうぞ、みたいな。気分が落ちてる時に見ると更に落ちてしまうってパターン、あるかもね。「弱めのずーん映画」と名付けておく。
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