肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

イヌとイタリア人、お断り!/犬とイタリア人お断りの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

3.8
フランス(に)亡命イタリア人となった祖父母の代を孫監督がその由縁を"神(創造者)の手"として度々参加する事に独特のユーモアとファミリーツリー(系譜)に敬愛を感じる壮絶実話(ベース)・ストップモーションアニメ

やっぱり"MyFFFアニメ枠"はなにかと刺激を与えてくれますよ!ほぼ印象に残ってその年の映画鑑賞の感じ方の片隅にあったりして解釈の幅も拡がる。
それがみんな大好き「ストップモーションアニメ」と言うんだから自ずとオタクアニメではなく、"アニメーション"そのものを愛してるとなると(※ここ重要)高評価にせざるを得ない気にさせてくれる!

しかも今作は、"戦時を描く"、"悲愴感のある"中の"ユーモア"といった点では、ストップモーションアニメとしてNetflixデル・トロ『ピノキオ』、著名代表Laikaの『パラノーマン』などが思い浮かびましたが、ストップモーションとしてはどうしても挙げた二作に技術・作り込みは一歩下がる"インディーズ感"がでてしまうものの、"あたたかみ"や"ユーモア"はきちんと"唯一性"のあるもの。
イタリアの高地、アルプス山脈に面した場所を舞台とし、「大家族」を描いたものとして実写の『醜い奴、汚い奴、悪い奴』も思い出せたんですけど、ちゃっと例が悪いですねw 対極の「家族(ヒューマン)ドラマ」となります。
でも思い出されるということは、"貧困大家族"としてその"健気さ"が通じるものがあるんですよw(『醜い奴〜』ついてはもう触れまい)

まずオープニングの実写(風景)から始まる事からして"既存のストップモーションとどうやら違うぞ…?"というジャブを繰り出し、亡き人形(アニメ)の祖母と孫であり"神の手(製作者)"である監督が会話していくところからストーリーが始まっていきます。
その導入部が監督自身がリサーチでウゲッテーラを訪れ持ち帰った土地の素材、段ボールなど"手作り感"を存分に見せ、祖父兄弟らの登場人物に運ばせたりなど、"メタ"な掛け合いも多く独特な雰囲気を抽出して惹きつけられるのです。
どこか、孫である監督がウゲット家の一員として、その人形(家族)たちを創造していながら慎ましく、辛い貧者の生活に"助けたい、援助したい"という切実な思いが、メタとして"助け手"としてちょっかいを出しているような…そこからも"あたたかみ"を充分に感じとれる"温もりのストップモーション"。

高地農村の祖父ルイジの11人兄弟を擁すウゲット一家(勿論監督もウゲット)。次男のルイジ含め主稼ぎの三兄弟を中心に畑を耕せない冬は兄妹らが山を降りて"出稼ぎ"に出るという、今時代先進国では考えられない"悲惨さ"がありながらも、それをあまり仰々しく苦難として描かないのがこの「ストップモーションアニメ」の醍醐味なんです。
それが余計に"健気"に変換されて見ていて胸にくるようなしんどさもあるんですがね…
そうやって仕事、食糧難で生きていくのに必死の貧困大家族にまで『徴兵』の魔の手が伸びてしまう。
そんな戦時の地獄ムードであっても三兄弟の立ち振る舞いがユーモアを持って描かれ、ロードムービーではないけれど『ダージリン急行』みたいなおかしみがあったりして面白かったんですけどね…
そこには当時の大家族につきものの"悲劇"も起こってしまう…

紆余曲折あって祖母と出逢い結婚、子を複数設けムッソリーニの「ファシズム」が台頭した祖国を捨て夢見てアメリカに移民するはずが、フランスに帰化するという激動の人生を送りつつも、国境付近で幸せに戸建て落ち着いた一家にまた「戦争(世界大戦)」の魔の手が・・・という展開。
ここがイタリア出身でありながら「MyFFF(マイ・フレンチ〜)」たる由縁の映画となります。

あまりにもドラマチックの本編を説明して長くなりましたが、この映画の"メッセージ性"として一番の発言というと、

「人間を作るのは、国じゃなく"子供時代"」

という祖母の発言でしょうか。"帰化の道"を選んだ一家だからこそのとんでもなく"説得力"のある言葉で、アニメ・ドキュメンタリーでもある『FLEE フリー』とも国は違いながら戦争被害・疲弊の"難民"(亡命)として"壮絶"の言葉では言い尽くせない悲しみがこの"愛らしい作風"に隠れています。

人格形成の鍵を握る「子供時代」に平和・安心・幸せを提供できない「国」などあってはならないし、クソくらえ!という怨嗟に似た叫びもこの映画にあるはずなんです。
さて、平和のんのんと過ごし、そう錯覚しているこの『日本』は??