Hideko

イヌとイタリア人、お断り!/犬とイタリア人お断りのHidekoのレビュー・感想・評価

4.5
原題: Interdit aux chiens et aux Italiens
英題: No Dogs or Italians Allowed

2024年 MyFFF出品作品。

見どころ
『Jasmine』のアラン・ウゲット監督が、祖父母の経験をもとに時をさかのぼり、祖父の人生と家族の歴史を振り返る。2022年ヨーロッパ最優秀アニメーション作品賞受賞作品。

ストーリー
20世紀初頭、北イタリアのウゲッテーラ。ファシズムの台頭により貧しい生活を余儀なくされていたウゲット一家は、外国でのより良い生活を夢見ていた。一家の主・ルイジは愛する家族の運命を変えるため、アルプスの山々を越えてフランスで新しい生活を始める。
(U-NEXTより)

どの国からの移民も漏れなく差別を受ながらも懸命の努力でフランス語を習得し、中には帰化する人々もいるのですね。本作は移民問題と戦争という大きな2つのテーマを主軸とし、ストップモーションアニメという自分にとっては初めて聞く手法でそれらを深く語っています。

「ストップモーションアニメ」の詳細を学ばねばなりませんが、まず今まで観たことのあるクレイアニメとはまた違って、例えば体の動く箇所などが限られているのかな?という印象を受けました。しかしながら、目の上下左右の動きだけでその感情を表すことが出来ているのには目を見張りました。そして、間に挟まれる主人公夫婦の孫の手が人間の実物の手であることも、主人公たちへの慈しみが表れているように感じますね。

70分という決して長くない尺の中で、イタリア出身のある家族の波乱に富んだ人生を描いた本作、少なくない人々が経験したであろう差別や戦争体験を交えながら心にとても響く作品であると思います。

実写映画とアニメーションは、様々な理由からで同じカテゴリーに入れるのは難しいということは想像に難くないのですが、本作は例えばオスカーであれば、最優秀作品賞のノミニーであっても、実写作品に堂々と肩を並べることが出来る作品だと思わずにはいられません。

今、この家族全員に大きなハグ🫂をしたい気持ちでいっぱいです!よく頑張って生きましたね、結果として素晴らしい人生でしたね、と。
Hideko

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