Hideko

ダンサー イン ParisのHidekoのレビュー・感想・評価

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)
4.5
原題: En corps
英題: Rise

エトワールを目指す26才のバレリーナ、エリーズ。恋人の浮気現場を目撃したショックから舞台上でダンサーとして致命的な怪我を負ってしまい…彼女が第二の人生を発見するまでを描く。

クラシックバレエの美しさの虜になって、早何年でしょうか。『白鳥の湖』は特に、幾度となく劇場に足を運んできました。冒頭のパリ・オペラ座バレエのシーン。チュチュを見ただけで胸が高まり…。この世のものとは思えない指先からつま先までの繊細でしなやかな動き。一気に引き込まれました。

やはり若さは何物にも変え難い。ズルい!笑。精神的にも身体的にも柔軟なその時の眩さ。実際のダンサーであるマリオン・バルボーのナチュラルな演技がとにかく素晴らしいです。コンテンポラリーダンスの躍動感に引き込まれていく様も生き生きと描写され、ブルターニュの海辺の夕暮れのシーンもまたパリの街並みと同様に鳥肌もの。ズルい!(二回目 笑)

本物を観るのが如何に価値のあることなのか。あれだけ関心を示さなかった父親の、娘の新たな一歩である新しいダンスを観た時の反応に共感しました。

自分はいつ涙を流すのか…。悲しみの涙は勿論のことですが、美しすぎるものを見た時に、いつのまにか涙が頬を伝っているという経験が人生で何度かあり…。なので泣かせようという意図が透け透けの作品はダメです。多くの人に支持されているハリウッド作品でも全く反応出来なかった作品が幾つもあります。まさに「北風と太陽」。私を感動させたかったらとにかく美しいものを見せて、と。

本作で注目していた点は、上述の実在のダンサーが演じたということと、もう一つ、フランソワ・シヴィルが出ているとのことなのでファンである自分はどこ出てるのか、ドキドキで観ていましたが、まさか彼が…。初見では分からず、エンドクレジットを見て、ああ!と驚きました😅かなり恰幅が良くなっていて、更にヘアスタイルを手伝ってか、ん?もしかして…と思いながらも気づきませんでしたね。

「人生のすべてを味わって。」フランス語字幕がないのでよく分かりませんが、内容はそういうことなのでしょう。「今の90才は昔の60才」と言われているそうですね。幾つになっても夢は追いたい。叶えるためには諦めないことです。感性豊かに柔軟な心を忘れず生きたいものです。
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