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愛と哀しみのボレロのAntaressのレビュー・感想・評価

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)
3.8
ボレロと言えばこの作品と言うくらい音楽と映画のイメージが一体化している一本。
台詞少なめで見やすい。その分ストーリーと音楽に集中出来る。

ナチス台頭の時代から80年代迄の44年間の数組の家族、友人達を描いた話。なので同じキャストで親から子へと話が進んだりするので紛らわしい部分も多い。今なら老け顔も逆に若い顔もCGで作れるけどね。

ヨーロッパの近代史では避けて通れないのがナチスに寄る悲劇。
本作の登場人物達もそんな時代に人生を翻弄された人々。

バラバラになっていた人たちが凱旋門前でのパフォーマンスに向けて集まって行く様子は見応えあり。

ナチスだけでは無く戦争は家族や友人、仲間達を引き裂く。どんな大義名分を謳っても戦争に寄る悲劇は必ず起きる。

本作は引き裂かれた人々が再会するラストに向かって進んで行くファンタジーであると思う。

ワンハリがシャロン・テート事件を【無かったらこと】にしたお伽話であるように、愛と哀しみのボレロはヨーロッパに降りかかった悲劇への追悼と慰めを込めた【家族や友人達の再会、再生】と言うお伽話。

冒頭、平和の象徴である鳩の群れを蹴散らす軍の車がこの後の展開を暗喩している。

21世紀になっても相変わらず世界は争いに満ちている。

この映画が本当の過去のお話になる日はいつか来るのだろうか?
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