やっぱリー・ヴァン・クリーフよ。
彼の悪役無くして続・夕陽のガンマンは成立しない。
前作ではイーストウッドの相棒だったけど本作では敵。鋭い眼光、ニヒルな笑い。悪役はこうでなくっちゃ。
前作はモリコーネ分少なめで自分的には物足りなく感じた。しかし本作はモリコーネの曲が場面場面を盛り上げてくれる。1番盛り上がる決闘シーンでの使われ方は最高にカッコいい。
早撃ちガンマン3人の対決。
0コンマ1秒以下の差が生死を分ける。
凄腕の剣士のごとくお互いの心を読み、動きを予想する。ジリジリと睨み合う緊張の時が過ぎる。
このシーンの曲の使い方よ。
否が応でも決闘の緊迫感が増して行く。
死へのカウントダウンを告げるファンファーレ。
曲が途切れる、嘲るよう様なカラスの鳴き声は凶兆だ。
全てがクールで熱くてエロティックだ。
自分はマカロニ・ウェスタンと王道の西部劇は似て全く非なるものと思っている。ハリウッドの西部劇は何と言うか真っ当過ぎてツボじゃない。
片やマカロニ・ウェスタンは登場人物達にくどい位の癖がある。正義のヒーローである主人公でもいかがわしくエロい。だから私はマカロニ・ウェスタンが大好物なのだ。
それ故アタマでは『これは南北戦争中のアメリカを舞台とした話なのだ』と分かっていても心が納得しない。イタリア映画で西部劇っぽいことが行われていると思ってしまう。
なので南と北の兵隊とか将軍とかどうしてもアメリカを感じる場面には違和感がハンパなくなる。
隊の制服にしてもそう。
ああ言うのを見ると風と共に去りぬとか普通のハリウッド映画を観ている気分になっちゃう。
だからラストの南北の兵隊服ではない3人の姿に安心する。
ここはアメリカじゃなくてイタリアで、西部劇じゃなくてマカロニ・ウェスタンなんだと。
同じ感覚の方って居るかしら?
モリコーネ×イーストウッド3部作でイーストウッドはポンチョがトレードマークだけど本作だとポンチョは着ていない。でもポスターなんかを見るとポンチョスタイル。
謎に思っていたが虫の息の若い兵士に自分の上着を着せ掛けてやって代わりに側にあったポンチョを羽織ったのね。
午後ローだと画面が小さいから見逃しがちだけど十時の映画祭でも観たのにここ見逃してたのか。とにかく謎が解けて良かった。
観る度にめちゃくちゃ痺れる決闘シーンはモリコーネの曲によるところが大きい。それが改めて分かる映画館での鑑賞でした。
しかし敗者なのにカッコいいクリーフ様って凄いわ。撃たれて墓穴に落ちて行くサマもイケてるんだもの。