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ゴジラ-1.0のqopqopのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

庵野監督が東宝に負けずがんばって削ぎ落とした邦画のダメな要素、全部この映画に詰まってます。

悪いとこをあげたらキリがないのでとりあえず1.0点分のよかったとこは
熱線が大げさに強力だったとこ。
まあその後の爆風や揺り戻し、きのこ雲などの描写から、怪獣の技として作ったというよりは単純に東京にも原爆落としたかっただけだよね?
でもそれまでまどろっこしい会話シーンしかなくてストレスの溜まってた浜辺美波をあ〜れ〜と綺麗に吹き飛ばして退場させてくれたから、そういう意味でもあの熱線は良かった。

しっぽの先から背びれが1個ずつ伸びていく演出は最初ちょっと冗長じゃね?と思ったけど、最後に一瞬でガコン!どぴゅーんボカーン!のスピード感はかなり気持ちよかった!あれも原子炉か原爆か、何かの機構を模してたりするんでしょうか。自分の知識ではわからなかったので、シン・ゴジラの変形具合に対抗したのかなとも思った。

熱戦の威力についても、シン・ゴジラの時のように音楽含めたっぷりと時間をとって流れで魅せていくのではなく一瞬で銀座を更地にする呆気なさがむしろ爽快。熱戦の威力では負けてない感を出したかったのかな?

もしかしてこれからこの調子でどんどんいろんな街を吹き飛ばしてってくれるのかなとか一瞬ワクワクしてしまったが、さすがにそんな事はなく一度きりの特別イベントだった。

吉岡秀隆は「熱線を吐いたら回復までに時間がかかる」ことが既知のように言ってたけど、銀座でそんなこと観測されてたんだろうか。後から見直したらちゃんとキノコ雲を眺めてるゴジラが傷ついてたりするのだろうか。

ほぼ真横くらいの角度で撃ったのに、真上から爆弾が落ちてきたみたいな爆心地になってるのもちょっと疑問。まぁそれはさすがに重箱か。

てか神木隆之介が建物の陰に入っただけじゃ絶対に助からないだろと思えるぶっ壊れ具合。

あとゴジラの再生の速度が早すぎて、これまでのどのゴジラとも違うクリーチャーとして描かれてるんだなと思った。全然嫌いじゃないです。

機雷で吹っ飛んだ顎が一瞬でぶくぶく再生していくシーンはなかなかよかった。

そもそもお子ちゃまな自分は当然人間ドラマとかどうでもよくて、どんなゴジラがどんなビーム吐いてくれるのかだけを楽しみにして行ったため、1秒でも長くゴジラが映ってるほうがありがたい。

ゴジラがスタイルの割にやたらとシンゴジみたいに直立で姿勢がいい(骨盤が立ってて腰を痛めなさそう)なとことか、微妙に上半身と下半身のチグハグに見えるとことか、自分としては全部個性としてOKでした。
ただ戦闘機や船を追っかける時に可愛らしく犬カキで頑張って泳いでお顔をずっと出しといてくれるのはなんかアトラクションのゴジラザライドみたいでやや笑える。
まあかわいいからOK。

やたらと顔出して近くを泳いでるのと同様、本作でずっと「不自然なのか、これが逆にリアルなのか?」としっくりこなかったのがゴジラとの距離感。
全部生身の人間とゴジラが近すぎる。
これまでゴジラと言えば、出現すれば自衛隊が出動し警報が鳴り響き、ありとあらゆる放送で避難が促されているためか人間が映る時は大抵、避難してる人間と遠景のゴジラという構図だった。
ただ今回は、急にゴジラが地中から湧いてきたのか?と思うほど目の前でようやく人々が逃げてるシーンが多い。
まぁ戦後で色々インフラも整ってなかったりで避難警報とかが遅れてる可能性はあるんだけど、そんな近くなるまで逃げられないもんかなあ〜と。
冒頭のモンスターパニックサイズだったらこれぐらい人と近くても違和感ないんですけどね。

ただラストにボコボコっと再生させて終わりは雑すぎ。あのスピードだったら、喜ぶ間もなくあの後すぐにまたゴジラが襲ってくるじゃんと思ってなけなしの海神作戦も虚しく思えてしまう。もうちょい慎ましく再生の可能性を残すくらいでおなしゃす。
vsシリーズのキングギドラの最後は、そもそもゴジラが死んでさえいないからあれでよかった。

GMKも最後に心臓ドクンドクン動いて終わりってのはあったけど。そう思うと、同じようにゴジラ死んでないでENDでも、シン・ゴジラの無音で増殖した尻尾を写して終わり、というのはセンスが格別だったと思う。

電報が届いた時、浜辺美波が生きてますってパターンかなと思ったらやっぱり。まあ殺すのがかわいそうで、かといってあれ以上神木隆之介との恥ずかしい会話が続くと戦後の日本より先にこの映画が壊れてしまうところだったから、途中退場自体は正解、、脱出装置がついてる件もわざとらしく「それとな…」でシーンが切れてたので事前にわかった。

というか神木隆之介の行動とセリフが全部共感性羞恥を感じるくらい酷かったが、これは監督・脚本が悪いのか?演技も悪いのか?
彼が悪いとは言いたくないが、あらゆるシーンに説得力が無く、絶対にミスキャストだったと思う。髪切り竜之介と浜辺美波の会話シーンはすべてカットしてその分街をもう一つくらい吹き飛ばすVer.として再上映してほしい。

庵野作品との比較が多くて申し訳ないが、シン仮面ライダーから浜辺美波の活かし方を学んでおくべきだった。魅力ある人なのにくっさい演技させられて台無し。あれなら他の人でいいじゃんと思っちゃう。
普段こういう邦画、ましてや戦争物などは観ないので当時は「シン・ゴジラは邦画にありがちなだめな要素(くだらん会話、なんちゃって人間ドラマ、恋愛など)を見事に削ぎ落としてた」とか言われてもピンときてなかったが、7年越しにその言葉の意味をこの映画は教えてくれた。

もう一度言います。
庵野監督が東宝に負けずがんばって削ぎ落とした邦画のダメな要素、全部この映画に詰まってます。
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