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ゴジラ-1.0のシネパピのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
2.5
自分にとって「ゴジラ」は幼少期から舐めるように見ており思い入れの強い作品なので、鑑賞から暫く時間を置いて、考えがまとまったのでレビューを投稿。

スコアは低めだけど、5点をMAXとして考えると半分の2.5が自分の中では妥当。ただ、いつものスコアよりは若干厳し目なのは「ゴジラ」なのでこれは仕方ない。

また、前置きとして私、山崎貴作品はほぼ見ていません。テレビ放映された「オールウェイズ」をチラ見した程度です。ただ、それだけでも山崎監督の作風は自分には合わないと感じてはいました。

始めにマイナスポイントから。
①出演陣の演技
これが自分にとって本作最大のノイズ。終戦直後の時代には使わないであろう言葉遣い、テレビドラマチックなライトな演技、オーバーリアクションな演技。俳優さんには本当に失礼だけど、どこか安っぽく、セリフ回しが予定調和すぎる感じがどうしても否めない。
佐々木蔵之介と吉岡秀隆の演技はあまり好きじゃないんだなと再確認。

②「ゴジラ」作品としてのゴジラの扱い方
予告映像が今作のゴジラ登場シーンの全てでした。それ以上の驚きを与えるシーンが無かった。
そして「ゴジラ」という作品でありながらゴジラの出演時間は全尺の1/3ぐらい(体感的に)。人間ドラマパートが長すぎて長すぎて・・・。その癖、未曾有の事態を起こしているゴジラへの追求、探求が全くない。あくまでも人が主役の作品でした。

また、ラストバトルが海上というのも地味。
相模湾の海底に沈めるという作戦は面白いけど、沈めるまでのゴジラがどのような原理で立っているのか謎。立っているのではなく浮いている?
その辺の設定もノイズになってしまった。

続いてプラスポイント
①ゴジラ初登場シーン
ゴジラザウルスのような個体が「ゴジラ」の原型として最初に登場するのは少し新鮮でした。ただ、誰もが知っているゴジラの姿を初登場シーンでは違う姿で登場させるサプライズは「シン・ゴジラ」で体感してしまったので、「あーね」とは思いながらも個人的には良かったと思います。

②ゴジラの放射火炎
背鰭のギミックがメカニカルで生物的ではなかったけど、今作の演出は好きです。
(エネルギーの動きが尻尾から始まるのはレジェゴジっぽいですが)

③船を追うゴジラ
これはこの作品の白眉の部分です。
これまでも泳ぐゴジラは描かれてきましたが、今回は更にその先を見せてもらえた気分です。ゴジラの顔が目の前にある。この斬新なショットは今作一番のショットでした。

ただ、改めて思うのは「シン・ゴジラ」の衝撃が作り手にも観客にも、未だに深く傷跡のように残っているという事です。もともとゴジラってそこまでシリアスさを求める作品では無かったはずなのに、「シン・ゴジラ」はその概念を変えてしまった。私自身もその影響を受けてしまっているのは自覚してます。

余談ですが、今作を見た後、改めてエメリッヒ版「ゴジラ」を見たのですが、作品内におけるゴジラの扱い方がかなり似ているように見えました。

願わくば今作が良い興行成績を残し、また次のゴジラ作品へと続いてくれますように。
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