ゴジラ-1.0のスペインいきたいのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラが人を咥えては投げ、踏み潰し、建物を薙ぎ倒しているシーンはなぜかとてもスッキリする。この部分はヒーリング映画。人の視点から見上げるゴジラの絶望感がすごい。熱線吐く前の予備動作が機械的でかっこいい。
敷島の人間ドラマの部分がとてもよかった。PTSDを克服したかもというところで典子が退場したので監督は敷島を徹底的に曇らせたいんだなと思った。帰還兵組、みんな戦争に囚われている。作戦決起集会の場も戦中の誰かがやらねばメンタルが抜けきれていないのを薄ら寒く感じてしまった。意図しての演出もあるんだろうな。みんな戦争が終わってないから敷島みたいにPTSDを抱えてどこか打ち込む先が欲しい人ばっかりだったんだろう。そういう噛み砕き方をしたので、犠牲者を出さないと言い切った吉岡秀隆にほんとか？となってしまった。いいシーンなんだけども。

クライマックスのシーンは雑念がよぎってしまって入り込めなかった。ゴジラものとして比べてしまうけど、作戦遂行シーンは淡々としているシンゴジラのほうが好きだ。
雑念の例：
電報ということは多分典子生きてるのに敷島はそのまま特攻するのか……後味悪いエンドだな……典子匂わせするなら敷島生存の匂わせとかしそうだしな……敷島特攻があるなら作戦は失敗するだろうし駆けつけた人みんな死んでしまうのか……

いろいろ書いてはいるが作戦決行シーン以降はずっと泣きそうになりながら観ていた。
ラストは全部ハッピーエンドに向かうのかと温度差にびっくりした。かと思いきや最後典子の首に変なアザとシンゴジラよろしく再生するゴジラの細胞で終わり、確かにこれはマイナスだと納得した。典子があんな爆風と吹き戻しであの程度の怪我なわけはない。あれだけ黒い雨浴びててその後被曝の様子もない。戦争は終わったかもしれないけど今度は違う戦いが始まってしまった。ゴジラを通して、もし東京に核が落ちていたらというIFを感じてしまった。それくらいのインパクトのあるゴジラだった。


蛇足
10月末のジャパンモビリティショーのステージで監督がトークショーに出演されていて、映画に関するトークをされていたのを思い出して観なくてはと思った。現代だと東京の建物が高過ぎてゴジラの大きさが映像映えしないらしい。確かに。