aftersun／アフターサンのスペインいきたいのネタバレレビュー・内容・結末

ホームビデオを観ているはずなのにどことなく寂しい。父親の写し方が鏡越しだったりテレビ越しだったり間接的だったのが、当時のソフィと今成長したソフィが父親の心なり姿なりを直に捉えられていなかったことを示しているのかなあと思って切ない。ホームドラマ的な筋書きを期待して行ったが、終始穏やかで少し不審なカットが挟まって、でも全体はずっと夜の海みたいに一定のテンションで進むので、勝手に求めていたものとは違ったけれどもこれはこれで好きな映画だった。

リゾートにいるけどアルコールフリーじゃないプランで、部屋もベッドが足りなくてエキストラベッドで、多分金銭的に苦しいのかなと伺える父親が、惚れ込んで奮発して買った絨毯が最後ソフィのところにあるのがめちゃめちゃよかった。ラストのダンスシーンと相俟ってうるっときた。

いつ父親が死ぬのかヒヤヒヤしながら観ていたけど、ホームビデオの中では健在でよかった。でも最後の演出的にも父親はあの旅の後早くに死んじゃったんだろうなと思う。思い出が日焼けの後みたいにヒリヒリしていて、やがてそのまま肌に残ってしまったみたいな、そんな映画なんだろうなと思った。