Gan

ゴジラ-1.0のGanのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
2.5
映像は凄いけど、それだけやろコレ。

怪獣映画に高尚な造りを求めるのはお門違いだと思うが、それにしても物語として見るに堪えない。
「そういう映画じゃない!」「鑑賞のハードルを脳死ドンパチハリウッドアクション映画レベルに合わせろ!」「演出のみ楽しめ!」という声も聞こえてきそうだが、にしては取り扱うテーマ間違えすぎやろ。こっちも人生の2時間を削っているので、言いたいことを言う権利はある。
断っておくがパシフィック・リムもキングコングもトランスフォーマーもシン・ゴジラもトップガン・マーヴェリックもガメラも大好きである。だが本作をその並びに入れると、どうしても浮いて見える。それはやはり、全体の統一感に欠けるからではないか。
なんというか、列挙した作品たちは「拝金主義全開で作ってます!アホになって楽しめ!」感が逆に気持ちよかったりして誠意を感じるが、これは「レベル高いことやろうとしてます、高尚な作品つくってます」的な匂いをバチバチに感じる。透けて見える。だから何となく全体が噛み合っていない。分離しすぎてて、もはやゴジラ出てくる必要ある?となった。
だから、なんというかこう、やらしい。
こなれ感とかも鼻につく。こうすれば感動するやろ?的な。
少なくとも戦後、戦争孤児、特攻隊員の内面に迫るのであれば、それに見合った繊細さは求めて然り。
それらが全く無い。難癖ではない。
あまりにも分かりやすすぎる感動ポルノを作ろうとしている。それなのに、映画の全体像がボヤっとしている。
恐らく、脂肪が多すぎるのだろう。せっかく戦後を扱った斬新なテーマを掲げているのだから、もっと"特攻"と"ゴジラ"を活かせたはず。登場人物あんなにいらん。

虚構はその中に真実を映すからこそ価値がある。虚構で嘘を描いてないか?
戦争を扱う映画史上、ブッチギリで不快。

映像とあのBGMで上手いことまとまってる風で、展開は全て想像もつく。想像つくだけであれば上に列挙した作品も同じなのだが、なぜか大人を舐めてるように見て取れた。
セリフもほぼ最悪だった。

とは酷評したものの、映像・演出はThe怪獣映画って感じで素晴らしかった。特に新宿侵攻でBGMが掛かった瞬間~ゴジラ熱線は白眉。
もうギュッと5分にまとめてあのBGMを使ったMVとかで出した方がいっそ潔いね!

金を稼ぐためだけにつくられた作品を見るのははもう卒業したい。
ただ、こういうのを手放しで楽しめた方が人生幸せなんかもなーとは思います。
Gan

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