襟

怪物の襟のネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ボタン掛け違い事件、またしても世界的評価となったか。もうお得意技と化してる。今回もちゃんと観ないと分からない実に手の込んだトリック。
世界に通ずるブレーキを持たない子供の危うさとLGBTの両刀。精神的殺傷能力が高すぎる。

これから観る人がいたなら、少し注意したほうがいいかもしれないと助言をすると思う。
小学校にいい思い出があまりない身からすると、いじめ映像が繰り返されるところに酷さがあった。映像を職とするほどの興味がなければ、本当に最悪の時間だったと吐き捨てたかもしれないな。よかった、映画が好きで。
10年以上かけて克服してきたトラウマたちが呼び起こされてしまったので、また治療のし直しします。映画怖いな。

誰も怪物じゃなかったと言ってる人はひとつずつ声に出して観たことを確認したほうがいい。
どう考えてもヨリの親、いじめをしていた児童、嘘つき女児が怪物です
中でも酷いのが何人かいるので周りに心当たりがあれば大人子供関係なく今すぐ病院に突っ込んでほしい

土砂崩れ起きそうな山に通ずる道はもっと厳重に閉じてくださいと思ったけど、これはフィクションだからね、置いとこう。

映画観ている時に、よくある「2人が目の前で溺れていてどちらも今すぐ助けないと助からない。どちらを助ける?」という命題が浮かんでいました。
結局大人ができることも子供ができることも同じくらいちっぽけなことで、
やっぱり人生は1度きりしか生きられないからあらゆる可能性を考慮して人と接するなんて不可能、大声をあげるべきなんだよ。
湊の母親が悪いとも思わないし、教師が悪いとも思わないけれど、
小さな声にもう少し耳を傾けて、かつ発信していれば、
なにか少しボタンが掛け違っていれば、
例えば、ヨリの親の言動がおかしかったことを報告していれば
例えば、見覚えのないチャッカマンが荷物の中にあったことを静かに聞いてみていれば
なんでもよかったと思うが、
それがあれば、と思う気持ちは止められない。

日の中を確かな足取りでどんどん進んでいく子供たちと、よろめきながら名前を呼び彷徨う大人たちを、同じ構図で映すとか、
火事や二度の面談、天候の変化を用いた明瞭な時系列とか
視点を決めることによる情報の切り捨てとか、
多分他にもあるけど、この辺はやっぱりすごい。

意見分かれると思うが、校長凄かったな。
あれはヤバい。うっすらとだけど、多分あれは思想なんだよな。
ご高齢だからこその、培ってきた経験によって裏打ちされている思想。だからあの人は嘘をつくことに迷いがないし、起きたことの大きさによる反応の差分がない。
養育・教育機関にはああいう大人がいるんだよな。とにかく怖いんだ。

見応えあった。土日の映画高くなったな。
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