理か

怪物の理かのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

あり得ない話をさもありなん、が満載。


学校生活は誰でもが経験しているので、ちょっとしたことは見聞きしているかもしれませんが、本作で描かれているのは、あり得ないことだと思います。

一つ一つのエピソードを拡大し誇張したものにして、鑑賞する側に驚きを与えつつ惹きつけ、
えらい学級や、えらい時代や、と思わせようとしているように思われます。

またタイトルを怪物とし、誰なのか見つけ出させるよう誘導する奇をてらった引き込み方にも疑問の目を向けざるを得ません。

教師の体罰について、偶然性や子供の嘘で捏造できるような事態なんてあるのかと思いますが。私は存じませんが、全国的にはあるのでしょうか。

現実は、体罰があっても表面に出ずにいることが多くこれはこれで問題ですが、対して関係ない教師に累が及ぶ事態など考えられないです。

校長役田中裕子さん、眉毛を黒く太くして、こんな人、校長いるなぁ、見たような気がするなぁ、と見た目で思わせ、感情のこもらない話し方で、(ああ、おっとろし、面倒くさー、早よ帰ってくれへんかなぁ、)という思いが透けて見えます。話しながら折り紙するのは、イライラを抑える為。ちゃんと聞く気無いです。
孫の事故死を挿入した理由が不明ですが、
机上に飾ってある孫との写真を親の来校に備え、見せるように置き換えているのを見て、そんなに可愛がっていて悲しんでいたわけではないと気づかせてくれました。
近所に住む職員の噂話も加味して、この校長をさらに不気味に見せたい狙いかと思います。

そして、とにかく謝れ!という姿勢。
これは事実。あるところはあるでしょう。学校現場だけでなくとも、常套手段としてあるでしょう。
謝れば済むのか?と論点問題点をごまかそうとするわけですが。
反対にしっかりと事実関係を調べ上げて対処するところもたくさんあるわけで、真面目に働く者には迷惑。

結局、主役の子役二人演技が上手いし、実際は、仲良しの間柄、担任として注意指導すべきは、依里や二人を囃し立てる周りの男子でしょう。
湊の依里への気持ちをごまかす為に母についた嘘。母は忙しいからか、湊の嘘を鵜呑みにして学校に乗り込み話が大きくなり、
担任退職に追い込まれる、あり得ない話。

追記:
2回目鑑賞。依里君がガールズバーの放火に関わっていないか。炎が燃え盛る様子を遠景に歩道橋に佇む校長にぶつかった拍子にチャッカマンを落として走って行った依里君。これだけでは判断つきません。
依里君が、5年生であるにもかかわらず鏡文字を書いたり、朗読もたどたどしい。午前2時迄出歩くのがよくあるような生活も含めて父親のほったらかしがうかがえます。他児童にからかわれる原因ともなっています。

校長が折り紙折りながら話していたのは、拘置所の夫に面会に行った時。このシーンで運転していたのは校長だったように思えました。孫の墓を自分たちとは別にすると子供夫婦から言われる原因を作ったのは自分だと認識していたようにも見えました。相談室のベランダに出ていた湊君がウソつきました、と告白した後校長も一緒だよ、と言ったことからも。同時になぜ、校長をこんな人物にしたのか、疑問を感じます。
スーパーで走り回る子供にコソッと足をかけるのも、なんだかなぁ、気持ちはわかるけど、
してはいけない事です。ケガさせるかも。
(なぜ折り紙折りながらの場面で気づくかと言うと自分も経験があるからです。自分の場合は、全く別でただただ騒がしい帰りの用意を待つ間のことですが、他に用事が無く待つのがイラっと来るので。折り紙すると心が平静になります。滅多にしませんが。)
近年LGBTへの理解が少し深まり公的機関の認証も微々変化して来ていますが、小5の男の子の気持ちってどうなのでしょう?それも二人揃って、というのは明らかにおかしいと感じました。
ラスト、湊君の母親の慌てぶりを観ていると、二人は亡くなってしまったのでしょうか。口癖のように言っていた、生まれ変わったのかな?にいや、違うよ。の返事。依里君が転校する辛さから二人逃げ出したのかも。湊君も母親の口癖の普通の家庭を作ることができない自分からの逃避だったのかも、と描かれていますが、前述のようにここまで考え悩むか不明です。
ラスト二人を死なせる必要あったのかどうか?無理に怖い話に仕立てたようにとれます。


(蛇足)
2回学校の倉庫が出て来ますが、スカスカ、いいなぁと思いました。
あんなところに電車をほったらかしにしているのか疑問。鉄道会社が対処すると思いますが。
校長と金管楽器吹き合うのも意味不明。
理か

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