このレビューはネタバレを含みます
ずっと観たかったのでアマプラに入って嬉しい!思っていたのとは違うテイストだったけど、後半特にグッと引き込まれる。
先入観や噂や伝聞ではなく、自分がフラットな目で見て耳で聞いたものでないと何も始まらない。でもこんなのって本当にありふれたことで、誰しもあると思う。
相手に対して憤っていたら実は相手には正当な事情があり…みたいな。これに関してはコミュニケーションにおいて誰しも自分が知り得ない事情を持っているものだと心得ておくべきだし、逆の立場に立って考えて相手はこちらの事情など知らないのだし人からどう見えるかも考えるべきだとも思う。
うまい見せ方のシーンだなぁと思ったのは、保利先生が湊の母に詰められている時に飴を食べたところ。最初は母側の目線立ってしまってるから「この期に及んで話の最中に…」と怒りすら湧くんだけど、後になってあれは恋人からのアドバイスで、気持ちをなんとか落ち着かせようと食べたものだったと分かる。保利先生は話半分に聞いているわけではなく、事態が混乱するなかで自身の置かれた状況が深刻であると自覚しているからこそ出た行動だった。これを詰める母もリアル、そりゃその反応になる。ああこういう行き違いって往々にしてあるよなぁと既視感があったし、些細なシーンにも伝えたいことのかけらが散りばめられていた。
最後のシーン、子どもながらに子どもらしくいられなかった彼らが求めていた世界そのものな気がしてボロボロ泣いてしまった。
誰も知らない。彼らが最後まで何を思っていたのかも、どうしてこんなに多くの大人を巻き込んだ大事になってしまったのかも、知る由がない。全く話の内容は違うけど、柳楽優弥の「誰も知らない」が思い浮かぶなぁと思ってたら、監督は同じ是枝さんだった…。
学校のシーンで吹奏楽の音がたまに聞こえてた。小学校でも部活があるのか〜くらいに思っていたけど、もしかしたらあれは放課後のシーンだけ聞こえていて、校長が吹いてたのかも。言いたいことを音に変えて。
2024年111本目