アレクサンドル・ペトロフのアニメーション作法を余すことなく使った2006年の作品。
三鷹の森美術館での外国語映画のプログラムでも上映された作品。
16歳のアントンには、気になっている女性が2人いる。
1人は同世代のメイドのパーシャと、そして隣に住む年上のラフィーマ。
思春期ならではの『心の揺らぎ』の心象風景ご淡い色彩の美しい油絵に乗せて体感できます。
まるで、ルノアールのような印象派の絵画を鑑賞しているような春の微睡のようなパステルの世界が、またこれまでのペトロフの作品とは異なり、新たなる感動を与えてくれました。
パーシャのヒナギクのような清らかで可憐な笑顔と、百合の花のように芳しいラフィーマの魔性の魅力が交互に映し出され、そのたびにアントンの妄想する恋の世界が変化していく様子が魅力的に表現されているのですが、この作品に関して言えば、男性ならもっともっとこの世界を自らに重ね合わせて楽しめるのかもしれません。