スカポンタンバイク

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜のスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

3.2
アニメーションに不思議な感じが予告の段階であったので、期待して鑑賞。

アニメーションは凄く良かった。山崎ドラえもんが全然分かってなかった、クレしんを3DCGでやるっていう上でどうクレしんらしさを表現していくかって所を凄くちゃんとやっているのが本当に良かった。顔のパーツ位置、形をリアクションに応じて変化させる事で、変に実在感のリアル化に走っていないというのが相当上手くいっており、凄い推せる。

ただ、話がなぁ。
これはクレしん製作陣がというよりは監督がなんだろうけど、原恵一とかAKIRAとか大好きなんだろうなぁって思った。というか、大人帝国なんでしょうが。個人的には、原恵一監督以降のクレしん作品は、そことの比較からの脱却を常に頑張って試みてきたシリーズだと思っているので、そこに戻ってくるのはあまり感心しない。戻ってくるばかりか、オマージュが多くて、結果元作品より浅いとなれば余計に感心しない。
今回、物語上で起こる展開とは別で、セリフで「大人が子供世代に押し付けた責任」とか「令和時代の若者に夢も希望もない」とかいった、平成から令和への移り変わりと大人世代と子供世代の関係といった事が匂わされる。まぁ匂わされる以上の事がないので、観てるとウザいだけなのだが。なんせ敵の非理谷くんのダークサイドの転向理由は別にその時代の影響を全く受けてないからだ。それをこの作品は同じことかのように混ぜこぜにして話をしようとしている。それが本当に「浅!」って心底思わせてくる。
大人帝国では昭和のノスタルジーをある種のユートピアとして魅せてくる所があるため、「それでも本当に未来へ進んでいく必要があるのか?」という問いかけが真に迫ってくるのだ。ただ、一つ考えさせる所があるとすれば、実際現代では平成が終わり、令和に突入しているわけだが、その移り変わりを考えた時に、平成には「ノスタルジー漂うユートピア」を感じさせる要素がないということなのかもしれない。あるとすれば深キョンの曲だけって事?
そう考えると、実は悪夢度が高い映画なのかもしれない。いや、考え過ぎだな。w