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君たちはどう生きるかのようのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
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【散文です。公開後にちゃんとレビュー書き直します】

7月14日公開の宮崎駿監督のジブリ最新作『君たちはどう生きるか』が、予告編、テレビスポット、新聞広告は一切なし。製作委員会もなし。同タイトルの原作本も関係なし。事前情報は謎の鳥?が描かれた、このメインビジュアルのみ。という超ストロングスタイルにめちゃくちゃ感動している。宮崎駿&鈴木敏夫のジジイコンビ、あの歳でもまだガン攻めしてくるの怖すぎる。

今年は1997年の『もののけ姫』『旧劇エヴァ』以来初の、宮崎駿と庵野秀明の師弟対決の年だ。(ちなみに、分かりやすい構図なのでそう呼ばれているけど、この2人は厳密には師弟関係に無いと思っている。何も継承していない。どちらかと言えばライバル関係だと思う。ナウシカ時代に突如現れた庵野秀明という若き天才を恐れ、高めあい、助け合ってきた関係性だ。)そんな2人の作品『シン・仮面ライダー』と『君たちはどう生きるか』が同年内で観られるのは、もしかしたらこれが最後になるかもしれない。そういう意味で、宮崎駿と鈴木敏夫も、かなり庵野秀明を意識して制作を進めたはずだ。

そもそも製作委員会方式を取らない、というのも新劇エヴァシリーズで庵野が一貫して取り組んでいた事だ。何年延期してでも、あの『シン・エヴァ』に辿り着いたのは、委員会方式を取らなかったからだと思う。そもそも製作委員会方式は鈴木敏夫が発明したと言われる映画の作り方だ。ジブリ作品は、日テレや博報堂、電通などとタッグを組んでこそのヒットメーカーになった。それを捨てるということは、純粋に、外からの影響無しで宮崎駿のフィルムを作るという決意の表れ。マジで期待できるし、大歓迎だ。純度100%の宮崎駿。

かたや庵野の『シン・仮面ライダー』はバチバチの旧来の委員会方式で、ありとあらゆるメディア展開とコラボを駆使してプロモーションを掛けていた。これと真逆の事をしてやろうというのだ、鈴木敏夫は恐ろしい。そもそも予告もテレビスポットも新聞広告も打たないということは、劇場に足を運ばない限り、全く内容が分からない。これは今のコスパ・タイパを重視する層に対してのプロモーションとしては真逆だ。

『シン・仮面ライダー』は公開前からアプリやTwitterやYouTubeやチップスカードなどを駆使して、本編の情報を出しまくっていた。ほぼストーリーは分かっちゃったし、大体の怪人は紹介されていたし、サプライズも少なかった。その辺りが、興行収入にモロに出ている気がする。(シン・エヴァ102億、シン・ゴジラ82億、シン・ウルトラマン44億、シン・仮面ライダー23億)“いまの若い人は内容が分からないと不安で映画館に行かない。ある程度内容を知って安心した上で映画館に答え合わせに行く”という、代理店のおじさんが言うアレみたいな仮説に則った戦略なんだろうけど、俺はめちゃくちゃ嫌だったな。なんの前情報も無しで映画のインパクトから喰らいたいので。まあ、それは宮崎駿がやってくれるので、そこは既に師匠の勝ちだ。

鈴木敏夫がインタビューで語っていた言葉が印象的だった。

「今ね、情報過多なんですよ明らかに。情報を確認するために映画を見に行ったりする。それは実はね、過剰サービスで、お客さんにとってはね、本当におもしろいところを全部、奪ってるようなものなんですよ」

絶対にこれ『シン・仮面ライダー』の事を揶揄してるでしょう。分かるよ鈴木さん。アレはダメだった。そして、

「決まりきったことを毎回毎回やるって、やっぱり嫌ですよね。ちょっと違うことをやろうよって」

庵野秀明を全否定な鈴木ジジイ。恐ろしいぜ。7/14の公開が楽しみだ

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